養生・治未治療

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「ウェルネス」という考え方

健康ということに関して、私たちは病気になってから治療を始めるという、いわば受け身の姿勢というのが一般的でした。これに対して最近耳にする「ウェルネス」という考え方があります。簡単に言うと、よりよい生活を送るために、より積極的に健康を目指した行動をすることといった意味のようです。

ヨガをする女性のイラスト

ウェルネスとヘルスの違い 

ウェルネス」の意味を知るうえで、わかりやすい説明があったので紹介します。「ウェルネスとは、「元気」や「爽快」を意味する英語「well」で、「病気」を意味する「illness」とは対照的な言葉である。病気ではない状態を「健康」(ヘルス)と表現してきたのが一般的であったのに対し、積極的な健康行動をとること、より良く生きるライフスタイルの在り方がウェルネスであり、より広い健康観を表しているものということができる。」

『ウェルネスツーリズム ―サードプレイスへの旅-』
荒川雅志 著 
フレグランスジャーナル社 2017年

ウェルネスツーリズムの画像

『養生訓』における養生の考え方

では、古くからある「養生」とはどういった考え方なのでしょうか。貝原益軒の『養生訓』は養生思想の発祥地である中国でも高い評価を受けていますが、その最初の文を要約すると、「人の身体は天地(自然界)と両親から授かり、育てられたものであり、自分のものではない。したがって、大事に長く保ことが天地父母に対する孝行である」とあります。そして「天地父母への孝をつくすべく養生し、正しい倫理観で生きれば、長生きし、人生の喜び・楽しみを享受することができる。」といったことも述べています。

孝の字の画像

健康に生きるということ

前出の荒川教授はウェルネスの定義として「身体の健康、精神の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして、豊かな人生をデザインしていく、自己実現」と述べています。さすがに江戸時代に書かれた『養生訓』と現代の価値観とでは異なるもののように見えますが、実際には、養生により父母や自然界への感謝の気持ちを表し、さらには正しい倫理観をもって周りの人達と接するということは、精神・環境・社会的健康を保つ1つの方法とも言えるでしょう。

人生をより高いレベルで享受するために、積極的に肉体・精神・環境を整え、それによって健康を保つ。それが養生やウェルネスの考え方であろうかと思います。

輝く二人の画像

鍼灸を使ったお手伝い

伝統的な鍼灸医学の考え方では、肉体と精神とはいわば器と中身のような関係で、切っても切り離せない関係にあります。肉体的な問題があれば精神にも影響が現れ、精神的な問題があれば身体的にも不調をきたすということを当然のこととして捉えています。養生やウェルネスの考え方にもあるように、健康であるということは、単に肉体的なことだけを指すわけではありません。鍼灸治療とは肉体的な不調を調節することで、同時に精神的な不調を調節することができる治療法です。これは先に述べたような伝統的な考え方からすれば当然のことと言えます。

より輝いた人生を享受するために、肉体的・精神的に快適な状態を保つ。その手段のひとつとして鍼灸という選択肢はいかがでしょうか?

鍼灸の画像